訥弁日記

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2025-08-02 2025年に読んだ技術書 (1)

会社で時間を作って、比較的若いスタッフにソフトウェア開発関連の本を読んでもらっている。 いわゆる、読書会というやつ。 悲しいかな、プレッシャーになると言われてしまい、僕は出禁にされているのだけれど。

若手に本を読ませているのに自分がなにも読まないのは恥ずかしいので、今年は月に1冊以上、ソフトウェア開発関連の本を読むことにした。とはいえ、関連ということを少し広めに解釈している。

先に挙げた理由以外にも、 昨年末に同僚と、年内数冊しかその手の本を読めなかったのでどれが良かったという話も出来ず寂しいなという話をしたってことも事情のうち。

年末にまとめても良いのだけど、1年も半分以上超えているので簡単に、まとめておく。 現在8冊で、目標まであと4冊。 実は当初月1冊ペースで選んで読んでいたが、DB試験を受ける予定を立てたので勉強時間に充てたくなるかもしれないと思って、6月に1冊分の余裕を作った。

ちなみに、DB試験の勉強は手を付けた過去問の量だけを見たらぼちぼちなので、今月も一冊読めたらなと思っている。 UI/UX関係の本を読んでいるところ。

一覧は、こちら。

  1. 3分間ネットワーク 基礎講座 (改訂新版)
  2. 犯罪捜査技術を活用したソフトウェア開発手法
  3. ルールズ・オブ・プログラミング
  4. ハッカーと画家
  5. UNIXという考え方
  6. 良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門 (改訂新版)
  7. エンジニアの育成現場の「失敗」集めてみた。
  8. LLMのプロンプトエンジニアリング

以下、簡単な感想。版元名に書籍の紹介ページへのリンクを設定した。

[改訂新版] 3分間ネットワーク 基礎講座

網野衛二 /技術評論社

私は、ネットワーク関連は得意ではない。あまり触ったことないからだけど。 とはいえ、さすがに色々分かってないと困るのでという感じではある。 この本はかなり初心者・初学者向けの本多と思うけれども、読み進めるのに少し手間取った。 分かってない話について具体的に書かれ過ぎると、前提条件を推測するところが異常に動いてしまうというような気持ちになり、僕はネットワークについて分かっていないんだなぁということが、良く分かった。 分かってしまえばこういう説明になるということは納得できる話ではあるんだけれども。

犯罪捜査技術を活用したソフトウェア開発手法

Adam Tornhill、園田道夫(監訳)、株式会社クイープ(訳) /秀和システム

たぶん、OSCの動画(YouTube配信のアーカイブ)を見て買った本。 ミステリ好きとソフトウェア開発にも興味があってという私向けの本かと思って買った。 正直なところ、ミステリ要素というか犯罪捜査技術要素は少ない感じがした。単に期待が大きかっただけかもしれないけれども。 「循環的複雑度まで考えなくてもコード行数くらいの指標で良い」という話や「2つの指標のどちらでもよろしくないところは要対処」といった指針について読むことが出来たのは面白かった。 好印象の一冊。

ルールズ・オブ・プログラミング

Chris Zimmerman、久富木隆一(訳) /オライリー・ジャパン

ビデオゲーム『Ghost of Tsushima』のヒットが記憶に新しいSucker Punch Productionsの共同創設者が書いた本。 しばらく積んでいたのだけれども、この機会に読もうかなと読んでみた。 著者の体験から得られた考え方について、読者に語り掛けてくれる良い本。 積んでいた理由は、僕の誤解。買ったはよいが、著者がゲーム分野の人なので難しい最適化の話などのアルゴリズム的な難しさを持った内容かと思っていた。 けれども、そういう特定の特定の話というよりは応用範囲が広い話が多かった。 これも好印象。

ハッカーと画家

Paul Graham、川合史朗(監訳) /オーム社

大学院生の頃にLispを知ったので、プログラマになる気になって、生きていくことが出来ている。 そんなLispを知ったころにいくつかはインターネット上で読んだが、まとめて書籍で読んだことはなかったので、 原点回帰と箸休めのつもりで、読んだ。読んだことのある文章もそうでないものも、楽しく読んだ。 正直なところ、まあ、今現在、人にオススメできるかどうかは怪しいが。 当時(大学院生の頃)、「普通のやつらの上を行け(Beating the Averages)」を読んで、 「どうも普通の人に分からないLispの良さが僕にはわかるぞ。きっとプログラマならやっていける。」と誤解したので、この道に進んだ。 そもそもLispの良さが分かってるわけでもなく、これ自体はアホな誤解ではあるけれども、 この道に進んで結果としては良かったので、Grahamさんと川合さんに感謝している。

UNIXという考え方

Mile Gancarz、吉尾桂(訳) /オーム社

これもちょっと箸休め。 UNIX思想ということばとなんとなくの雰囲気は分かるんだけど、一度、関連書籍をしっかり読んでおこうと思って買った。 特に理由もなく、本棚でひっそり主張をしていたので、今だなと思って読んだ。 上手くいかず、心がざわつく日々だったからかもしれない。 このタイプの開発心得や設計心得というタイプの本は、 もちろん、紹介されている方向性や考え方の効果という意味での良さもあるが、 即座に何かに応用するというより、自分の考えを整理していくことに有効だったりする。

[改訂新版] 良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門

仙塲大也 /技術評論社

読書会の課題作。内容は、C++流オブジェクト指向の標準的な考え方の本だと思う。 旧版の方は読んでいたので、実質的には再読だが結構書き直しがあったようである。 今回、作りが丁寧な良い本だなと思った。 この手の本は、いかに飛ばし読み・流し読みがしやすいかということが重要だと思っている。 そういった観点で、章節の組み立て、太字での強調など読みやすさがあった。 もし読者にとって精読が必要な内容だとしても、この飛ばし読みや流し読みの段階を踏んだ方が良いので、 これが出来るように考えられていることはポイントが高い。

エンジニアの育成現場の「失敗」集めてみた。

出石聡史 /翔泳社

前作の『ソフトウェア開発現場の……』の方も読んで、可愛いキャラクタで楽しかったので、今回も読んだ。 特に今回の「エンジニアの育成」は、僕にとっても僕がいる環境にとっても重要な課題であるので、出版前から心待ちにしていた。 今回も、可愛いキャラクタの漫画とストーリーの中に、大切なことがつめられていて楽しかった。 当然、耳が痛いことも・心抉られるようなことも書かれていたが、そういうこと含めて色々と考えられる時間になって良かった。 好印象の一冊。

LLMのプロンプトエンジニアリング

John Berryman、Albert Ziegler、服部佑樹(訳)、佐藤直生(訳) /オライリー・ジャパン

大人気の本。同僚に流行っているということを教えてもらった。 しばらく書店で見かけなかったが、生活範囲から少し離れたところに出かける用事があり、その際に買った。 正直なところ、僕自身はあまり明に使ったり興味を持ったりする話ではないんだけれども、流行りに乗っかって読んでおこうかと。 社内でもLLMを使った開発等の話も出てきており、そもそもそのパワフルさは確かに無視のできない状況であることは確かであるので。 これを読んでLLMってものがなんとなくわかってくる感じにはなるので良い本だったとは思う。 読んだ後に、「ふーん、なるほどね。」となり、アテンションの大まかな話等おさらいしようかなって気になる。 しかし、残念ながら、僕の興味の問題もあるだろうが、あまり文章が良くなかったようには感じた。 訳が良くないのではないかなという気もするのだけれど、原文を買って確かめる気にはなれず。