訥弁日記

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2025-06-21 読んだ本 『君が戦争を欲しないならば』

『君が戦争を欲しないならば』(高畑勲/岩波書店)を読んだ。

この本は岩波ブックレットの1冊で、このシリーズの本は、薄くて良い。本の最後に記されている刊行の言葉には次のようにある。

(前略) 現代人が当面する課題は数多く存在します。正確な情報とその分析、明確な主張を端的に伝え、解決のための見通しを読者と共に持ち、歴史の正しい方向付けをはかることを、このシリーズは基本の目的とします。

この本は、『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』などで知られる高畑勲の、10年前の2015年(戦後70年)の岡山での講演録。

『火垂るの墓』は反戦映画にではないという話から始まり、自身の岡山空襲の経験、人が戦争に加担してしまうということについて語っている。

タイトルの元になったであろう言葉が、最後に紹介されている。(P. 61)

“Si tu ne veux pas la guerre, répare la paix.”

『君が平和を欲するならば、戦争に備えよ』という古代ローマの警句を揶揄しているフランスの言葉で、日本語訳は以下のように紹介されている。

もしもきみらが戦争を欲しないならば、繕え、平和を。

2025-06-13に、イスラエルがイランを攻撃した。 日本において連日、ロシアのウクライナへの侵攻、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区のへの侵攻に関するニュースが報じられている。 それらだけではなく、この世界では戦争がいまだ起こされているという悲しい状況にある。

2025-06-15からの4日のG7サミットで、前述のイスラエルのイランへの攻撃を受けて『イスラエル及びイランの間の最近の情勢に関するG7首脳声明』が発表された。 この声明では、先制攻撃を行ったイスラエルを擁護して、イランの核開発を非難するという内容になっている。

高畑勲の岡山の公演から10年の今年は戦後80年。今、大阪では万博が開かれている。 この本の中で戦時中の日本を経験し、戦後の民主主義第一世代として高畑は、「世間様の目・空気を読む」ということに警句を発している。 平和を欲する私たちには何が出来るだろうか、どうしたらよいだろうかと考えさせられる。

“Si tu ne veux pas la guerre, répare la paix.”
「もしもきみらが戦争を欲しないならば、繕え、平和を。」

この言葉を忘れたくないと思った。